資本主義にある本質としての「格差創出」(その1) |
で、一部においては「反サルコジのデモ」が暴徒化したこうした暴動は、その翌日の7日にかけて、フランス全土に拡大し、2日間で警察当局に身柄拘束された若者の総数は計600人近くに達しました。
この今回の暴動の引き金になっているのは、サルコジが内相時代の一昨年(05年)秋、パリ郊外で起こった若者暴動の際、彼がそうした暴動を起こした若者たちを「人間のクズ」呼ばわりしたことがきっかけとなって、その抗議暴動がフランス全土に拡大したこととも繋がっています。
つまり、今度の抗議行動は、確かに、「暴力的手段」という、その表現方法において多大な問題があったとは思いますが(もっとも、社会から疎外され、貧困な状況に置かれて、ろくな教育も受けていない彼らに、ちゃんとしたコトバで社会にそのメッセージを発していく力を持ち得ていないと思いますが)、その「人間のクズ」呼ばわりした人物が、「フランス共和国大統領」に選出されたことに対する、「強烈なノン」の意思表示であったことは間違いありません。
今度の若者暴動の淵源にあるものと捉えていくと、直接的には、フランス社会の移民問題に突き当たります。具体的には、「ブール」(=Beur、「アラブ=Arabe」の逆さま言葉)という、マグレブ(旧仏植民地下にあった北アフリカのモロッコ、チュニジア、アルジェリア)からのイスラム系移民の2世、3世で、その「自由、平等、友愛」というフランス革命の理念(=奇麗事)とは裏腹に、現実には日本でいうところの「3K職場」に追いやられ、高い失業率に晒されている彼らの、「差別と貧困」の問題があります。
どこの国の政府も大なり小なり似たようなものかもしれませんが、こうした「見たくないもの」に対して、徹底して蓋をしてきた無策、無能のツケが、ここに一挙に噴出してしまっただけだともいえます。
今回は、こうしたフランスの移民問題を論じる余裕はまったくありませんが、この問題を生み出す根源にあるものを見ていくと、それは資本主義というシステムが、おそらく病理的に持たざるを得ない「格差創出」の問題だと思います。
ここでいう「格差」とは、具体的には、「経済格差」、「所得格差」ということですが、これはフランスはもとより、日本も含め、今、グローバルな視点で突き詰めて考えなければならないことだと思います。
私もこの「格差問題」について、一度、きちんと自分の考えをまとめようと思っていたのですが、日々、他の「政局案件」に振り回されるばかりで、なかなかそういう機会がありませんでした。その意味では、今回、極めて異例ともいえる、「大統領当選当日に沸き起こった、燃えさかるパリの炎」が、怠惰な私の背中をポンと押したのかもしれません。(この項つづく)
#ん、猿がマルタに雲隠れして、のうのうとバカンスを取っている5月8日、PSのオランドは「失望や怒りを表明できるのは、暴力ではなく、投票行動だ」と、6月の下院選でUMPに投票せんよう、呼びかけたんやな。アタリマエや。これでPSがUMPを過半数割れに追い込めんかったら、「無能」の烙印を押してもいいだろう。そうやって、オランドももうちょっとピシッとせんと、セゴレーヌがまた、猿に浮気してしもうで(笑)
#しかし、フランスの大統領選 &下院選(=6月10日、17日)の「時間差ダブル」に合わせて、トルコも政局流動化し始めてるんやな。ちょうど、仏大統領選と並行して、首相のエルドアン(AKP党首)が大統領になる、ならんで揉めまくって、7月に総選挙を前倒しするのか。ん、ひょっとして、日本とも足並みを揃えておるんか(笑)。で、トルコの民主左派党の党首、セゼルが5月9日付け毎日朝刊のインタビューに応じていて、「最大野党・共和人民党(CHP)と選挙協力する用意がある」と、これは、エルドアン追い落としに動き始めたってことか。しかし、トルコのEU加盟モンダイも、6月の仏下院選、で、7月のトルコ総選挙の結果を見んことには、全然、わからんなあ。ひょっとして、トルコの政権交代もアリなのか? えっつ、トルコの総選挙は7月22日か。たぶん、日本の参院選と同じだな(笑)。これは、「日本& トルコ・真夏の同時大政局」になったら、超オモロイな。
#決選投票当日から続いていた「反サルの若者暴動」、5月8日の夜も起こって、結局、3夜連続か。まあ、もう沈静化に向かうだろう。しかし、3日間も続いたというのは、正直、驚きでもあり、ショックでもあるな。これは、相当、根深いものがあり、単なる高圧的手法だけでは、何の問題解決にもならない。特に、シラク、ドビルパンは、バカでなければ、そのことがいちばんよくわかるだろう。で、そのことを今度の新大統領が「全フランス国民の『それ』」として、どれだけ「わが身の痛み」として感じることができるかだ。まともなフランス人であれば、物凄く深い傷を感じなければならないし、また、感じたはずだ。ワシに言わせれば、これは「フランスの9・11」だ。フランス人は、絶対にそこから目を逸らしてはならない。
#ん、バイルは5月10日にも記者会見を開いて、新党「民主運動」の旗揚げを発表するのか。しかし、下院の577選挙区すべてに候補者を立てるだって? 何か、日本共産党みたいなことを言ってるな(笑)。案山子でも立てるのかな。しかし、「2回目」で、相当、猿に票を切り崩されておるからな。ビシッとせんとアカンで、ビシッと。下院選は大統領選と同じ、小選挙区2回投票制で、1回目で過半数を占めた候補者がいない場合は、2回目の決選投票だが、大統領選は「上位2人」なのに対し、下院選は「得票率12・5%超」の候補者全員なんだよな。んで、ワシがシラクに出馬を要請しているコレーズ県は、結構、選挙区が広くて、メインとなる大票田は、県庁所在地のあるTULLEをはじめ、ボルドーとクレルモンフェランを結ぶ国道89号沿いにあるBRIVE、USEELなんだよな。あとは、オルレアンとトールーズを結ぶ国道20号(国道89号とはブリーブで交差する)のUZERCHEか。あとの町村はかなり点在しとるから、回るのは結構、大変ではあるんだがな。シラクが76年11月の補欠選挙で初当選したときは、もともとここは共産党の強い地盤だったんが、あのブルトーザーばりの強烈な戸別訪問で票田を切り崩して、勝ったところだ。もともとシラクの父親の家系がコレーズ県の出なのと、嫁ハンのベルナデッドもコレーズ県から地方議員で選挙をやって当選してて、以前、ベルナデッドはヒラリーをコレーズ県に連れ回して来てるんだよな。だから、シラクが出れば、知名度もさることながら、一肌脱ぐという昔からの支持者はおる(あそこは、人情味のある土地柄だからな)。だから、UMP、PS、バイル新党、共産党の候補者と競り合っても、「完全無所属」でも、シラクは勝てる場所だからな。
#あと、「シラク再登板」の選択肢として、「初代EU大統領」ていうテもあったな(笑)。いずれにしても、猿もEU憲法草案の批准は避けて通れないからな。そこにはちゃんと「EU大統領の創設」の条項が盛り込んである(もっとも、今、コレを書いたことで、猿がEU大統領条項の削除に走り出すかもしれんがな)。まあ、「シラク治世に対するノスタルジア」が出てくるのも、案外、早いかもしれんな。というより、既に出ている(笑)。そこがブレアとの最大の違いや。こういうものは、「空気中の酸素」のようなもんで、それがアタリマエの状況として存在していると、誰もありがたくは思わないが、失ってみて、初めてわかる。それは、任期の切れる5月16日より以前の段階で、ワシが敢えて断言しておこう。アメリカがブッシュになって、あの「9・11」を経て、「クリントン・ノスタルジア症候群」になったようなもんや。機を見て、仕掛けるチャンスは、まだナンボでもある。
#ん、何や、猿、さっそく、「EU憲法草案簡素化」のアドバルーンを上げて、「EU大統領条項」の削除を虎視眈々と狙っとるんやな。せっかく、シラクをエリゼ宮から追い出したのに、また、その「屋上」に、あんな巨体のジイサンがおったら鬱陶しくてたまらんわな。まったく、これから始まる「第3帝政」のブレーキになってしもうもんな(笑)。で、開票翌日にさっさとマルタ島にエスケープしたときの自家用ジェット機と現地の豪華ヨット(全長60メートル、推定賃料週20万ユーロ=日本円換算約3240万円)は、猿のチョー仲良しのお友達で、メディア事業も手がける投資会社社長、ボローレの所有だったんやな。いいよなあ、そんな金持ちのオトモダチがおって。「2回目」で、バイルんところのUDF票を切り崩すのに、相当、カネも使ったそうやないか。セゴレーヌんとこはカネがないんで、みんな手弁当で応援しとったっというのにな。ようけいカネをはたいて当選をもぎとったあたりも、まさに「米国流の最初の大統領」やな(笑)
#それはそうと、トルコも5月13日にイズミールで、反AKPのデモで100万人動員? しかし、「100万人」って数字はホンマか? エルドアン、7月の総選挙は大丈夫か? まあ、経済成長はいいみたいだから、本来であれば、与党が負ける要因はあんまりないハズなのだか、フランスの大統領選に合わせ、色気が出て、エルドアンも「国家元首」である大統領になりたかったんかなあ。軍部が野党にくっついたのが意外だったな。やっぱ、キプロスから引きたくないんだろうなあ。ただ、フランスの真似して「大統領直接選挙制」の憲法改正案も少し気をつけた方がええで。というのは、「大統領の所属党派」と「議会の多数派政党」が常に一致するとは限らんからな。そこで「ギャップ」が出てしもうと、また、大変だからな。別におとなしくしてれば、安泰だったと思うんだが、「欲」が出てきたんかなあ。たまたま日本の参院選と同日になるだろうが、トルコの総選挙も取材したらオモロそうやなあ。イスタンブールや、イズミールといったエーゲ海沿いと、東部アナトリアとでは全然、違うっていうからな。今、「東西の境」は、アンカラより東にズレてるようだが。
