「新・悪の検事総長 松尾邦弘」の権力犯罪を弾劾する(04・10・12) |
私に言わせれば、「前代未聞の犯行」をやってるのは、検察の裏金問題の内部告発の口封じのため、ないものをデッチ上げて不当逮捕した検察幹部連中に他ならないのですが、これに対する被告側三井氏サイドの最終弁論は10月27日にあり、これで裁判は結審し、来春には1審判決が出る見通しです。
そんな折り、つい最近、ある検察中枢の幹部と雑談に及んだ際、「うーん、三井さんの事件も、裁判所はアタマが痛いだろうね」と前置きしたうえで、こんなことを言うのです。
「そりゃ、あんな証拠薄弱じゃ無罪が出てもまったく不思議じゃないけど、ナンダカンダ言っても、裁判所は私たちの“身内”ですから(笑)。心情的には有罪にしたいんでしょうけど、マスコミがあれだけ『口封じ逮捕』と騒いだ事件でもあるし、ほんとに難しいですよね」
検察が起訴した事件の有罪率が「99・9%」であるという“フィクション”のか
らくりにある、「判検癒着」の実態は、また、いずれ触れるとして、この検察中枢幹部の発言も、なかなかビックリ仰天ですよね。まあ、「司法試験合格者同士」は、お互い「可愛い身内同士」ということで、その判決も大甘になるらしいとのことです。この自・公ファッショ政権にふさわしい、極東亡国の司法界の根腐れ状況といえましょう(笑)。
と、そんなこんなのうちに、戦後史上最低最悪の「自・公全体主義政権」であるがゆえに、検事総長として、三井環氏不当逮捕の指揮を取り、本サイトでも正義の鉄槌を打ちのめす対象となっていた「元祖・悪の検事総長」の原田明夫が、この6月25日付けで退任し、その後釜には、同じ東大法学部卒の「原田一派」(=永田町とズブズブ派)である、東京高検検事長の松尾邦弘が就任しました。
東京高検検事長というのは、検事総長のテンパイポスト(=法務・検察のナンバー2)ですので、予定通りといえば予定通りですが、じつは、この松尾邦弘というオッサンも、前任の原田明夫同様、三井氏不当逮捕に深く関わっている、いわば「同じ穴のムジナ」なのです。
三井氏の不当逮捕の内幕については、この2月から3月にかけて本サイトで8回の大連載をした「悪の検事総長・原田明夫の権力犯罪を弾劾する——三井環不当逮捕は現代のドレフュス事件である」を参照して頂きたいですが、この松尾邦弘も、原田明夫の腰巾着として、三井氏が現役の検察幹部として調活(調査活動)費の不正流用、すなわち、検察の裏金問題を内部告発しようとしたのを、何とかして丸め込めようとして、口封じのための不当逮捕に持っていった「大共犯」なのです。
じつは、この松尾も調活費を不正流用して、内部の宴会などでドンチャン騒
ぎをしていた「血税詐欺犯」なのです。
松尾は1996年当時、松山地検の検事正をしており、もちろん、年間約400万円ともいわれるその「調活費」(=検察首脳が好き勝手に使える裏金)を使い倒せる立場にいたわけですが、その頃、四国4県の地検の幹部は毎月1回、4県持ち回りで宴会をやっていて、当時、高松地検の次席検事だった三井氏は、松山地検、すなわち、松尾が主催した道後温泉での宴会にも出席しているのです(笑)。
んで、三井氏によれば、その宴会費用は30万円はかかっていたと推測され、もちろん、その費用の出所は松尾のポケットマネー、すなわち、「調活費」であることは、火を見るより明らかなのです。
このように、松尾は三井氏とは“顔見知りの昵懇の仲”であるため、2001年1月発売のウワシン(01年2月号)が、高知地検検事正だった加納駿亮(ウワシン掲載当時の肩書は大阪地検検事正)の調活費流用による裏金ギワクをすっぱ抜いた際、その情報源が三井氏であることに、本省筋で最も早くピンと来たのが、じつはこの松尾なのです。
松尾自身も、加納と同様、検事正として裏金を使い倒してきた“実績”がある
ため、この調活費という「システムとしての裏金づくり」が白日のもとに晒されては、「検察の信用」が瓦解するのはもちろんですが、何より本人の「出世」に響いてきます(笑)。
んで、このウワシンの記事から約半年後、三井氏は関西検察のドンと呼ばれている、加納の元上司でもある逢坂貞夫というオッサン(元大阪高検検事長)と大阪は北新地の料亭でメシを食っていますが、そのとき、「なあ、三井君、組織を裏切ったやつはモリカズ(※元特捜検事の田中森一のこと。「大阪特捜にモリカズあり」とまで言われほど独自捜査で敏腕を発揮するも、退職。その後、法務検察との対立を深め、石橋産業事件で、許永中とともに詐欺の共犯として逮捕される)みたいになるんや」とひとくさり脅されてますが、その最中に、こういうことも言われています。
「松尾君が心配して、何回も何回も電話がかかってくる。今日も電話があった」
この松尾邦弘は、前任の原田明夫と同様、「東大法学部卒→法務省ライン」のルートを歩み、専ら霞が関にある赤レンガ(=法務省の通称)で、検察幹部の人事をいじくったり、予算折衝な国怪対策などで、永田町の有象無象と飲み歩くことでのしあがって来た、いわば「政治屋官僚」の典型なのです。
この10年ほどの経歴を見ても、その90年代半ばに松山地検検事正で、調活費を流用して酒盛りをやっていた以外は、法務省人事課長、同官房長、同刑事局長、最高検次長検事、東京高検検事長、んでもって、めでたく(?)この6月には検事総長ですから、ほんと霞が関から外に出たことがないのです。
特に、松尾がその手腕をいかんなく“発揮”したのが、99年の第145土石流国怪において、今や「第2の破防法」とも言われている「盗聴法」の成立で、当時、法務省の刑事局長として国怪答弁に立っていたのが、この松尾だったのです(んで、このとき、マルハムへの説得など、ウラで折衝にあたっていたのが、当時、法務省事務次官だった原田明夫と、同官房長の但木敬一(現・東京高検検事長)のコンビ)。
その意味では、原田明夫同様、この松尾邦弘も、「盗聴法成立」というとてつもないプレゼントを頂いた、マルハム、すなわち、池田大センセイには、アタマをいくら下げても下げきれないほどの「借り」があるわけで(笑)、そのおかげで、どれだけ大センセイが助かっているかは、また、後で触れます。
このように、三井氏と「顔見知りの昵懇の仲」であることもあって、今度の「調活費の内部告発封じ、三井氏不当逮捕」にこの松尾も深く関わっていています。
例えば、これも既に本サイトでも触れていますが、三井氏の内部告発を機に、加納の福岡高検検事長昇任人事において、前代未聞の「再考」を内閣から求められていた01年10月27日、検事総長だった原田明夫は東京は麹町の後藤田正晴の事務所に行って、「加納人事が実現しないと、裏金問題が出てきて検察が崩壊する」と泣きを入れていますが、じつは、このとき、法務省事務次官だった松尾邦弘も同席しているのです。
つまり、検察、法務の両トップが揃いも揃って“土下座”をして、「加納人事」を通すよう、後藤田を通じて小泉に働きかけてもらったわけですが、こうした「けもの道」を通ってしまったことで、もはや、法務・検察は与党大物議員という疑獄捜査の「政権中枢」へメスを入れることができなくなってしまったわけです。
その端的な例が、最近で言えば、日歯連による旧橋本派への1億円闇献金事件でしょう。
まあ、その最終的な刑事処分を小泉の内閣改造の直前に出したというのも、本当に「いかにも」ですが、この事件でも、本来、橋本派の中枢にいて、そうした裏金の流れを詳細に知る立場にあった野中広務が、なんと「起訴猶予」で済んでいるのです。
で、いみじくも、「晴天の霹靂」「事実無根」と驚いていた元官房長官の村岡兼造が、ロクな事情聴取もせず「在宅起訴」ですから、もはやギャグもいいところでしょう。
もし、本当にクロだったら、辻元清美チャンのように、身柄を取ってパクるのがスジでしょうが、それもせずに在宅で済ましているのがじつに腰が引けていますが、しかし、「政治とカネ」で世論の批判も強いということを考慮してか、去年の総選挙で「落選」したことで、永田町への影響力を失った村岡を「スケープゴート」にしたわけですから、こんな松尾邦弘みたいな人間が、法務・検察のトップであることを考えれば、「さもありなん」でしょう。
さらにひどいのが、信濃町がらみの犯罪捜査で、この2月にヤフーBBによる個人情報流出事件に絡み、恐喝未遂で警視庁に逮捕された主犯格の竹岡誠治を、検察は「処分保留」のまま釈放し、起訴猶予処分にしています。
さらには、NTTドコモ携帯電話の通話記録盗み出し事件でも、02年秋に立件した以外にも余罪があったため、その被害者である元創価学会員が03年5月に刑事告発していた件でも、法務・検察は、1年以上も店晒しにしたまま、まともに捜査せずに、不問に付しているのです。
んで、こうした刑事捜査と前後して、三井氏のように、まったく事実無根の人間を「口封じ」のため、バンバン逮捕する一方で、こうした政権中枢に近い人間の犯罪に対しては、「クロをシロ」として不問に付すということを、性懲りもなくやりまくっているのが、前任の原田明夫を次いで、今や名実ともに「新・悪の検事総長」となった松尾邦弘がトップとして君臨する検察なのです。
そんな折り、松尾が検事総長に就任した直後の7月7日の七夕の日に、国松元警察庁長官狙撃事件で、オウム真理教関係者が逮捕されています。
小杉元巡査長の供述が二転三転して、当初からスジが悪いとされていた事件で、私はよっぽどのウルトラD的な「隠し玉」があると思ってケーサツは逮捕に踏み切ったのかと思いましたが、それが全然、ないままに逮捕に踏み切ったのです。
この捜査そのものは、拘置期限の切れる7月28日に、被疑者は全員、処分保留のまま釈放となり、その後、逮捕者全員が嫌疑不十分で不起訴となっています。
こうした“不当逮捕”によって、大新聞が逮捕時とは掌を返して、処分保留で釈放した際は、後々、彼らから「名誉棄損」で裁判を起こされた際のアリバイ作りのため、「ケーサツのズサン捜査」と叩いて(叩くフリ)見せましたが、通説では、警視庁公安部が突っ走り、それに押される形で奥村警視総監と佐藤警察庁長官が、東京高検検事長から検事総長に昇格した松尾のオッサンを拝み倒し、その結果、逮捕に持っていった、とされています、
ただ、まず、私がウサン臭いと思うのは、この7月7日というのが、何よりまず、参院選投票日の4日前だったことです。まず、逮捕の日時が「政治的思惑」に塗りつぶされているのは、言うまでもありませんが(笑)、というのは、7月に入って新聞各社の世論調査が出て、「自民苦戦」のデータに小泉、青木がまっ青になって、7月5日夜の赤プリでの「秋谷—青木会談」がありますが、まさにその最中の逮捕劇でした。
ただ、冷静に考えて、「国松元長官狙撃犯逮捕」によって、どれだけ与党サイドへの「追い風」となるかは、もちろん、プラスポイントはゼロではありませんが、しかし、実質的にはないに等しい。
さらには警視庁公安部が「7月逮捕」にこだわった理由として、8月に財務省の新年度の予算折衝が始まるので、それに向けたアドバルーンだったとの見方もあります。しかし、「不起訴」で受けるダメージを考えれば、ケーサツ側がそんなリスクをどうして予見できなかったか、私にはどうしても「?」なのです。
確かに、検察サイドは「この事件は当初から起訴は120%無理だった。しかし、それでも警察は逮捕した」という情報をリークしていますが、しかし、あの三井氏が逮捕、起訴されているのです(笑)。そんなもん、起訴しようと思えば、いくらでも起訴できるのです(もちろん、公判が維持できるという保証はどこにもありませんが)。
そこで、私がピンと来たのが「裏ガネ問題」です。
じつは、去年の秋から今度はケーサツの裏金問題が火を噴き、北海道警を皮切りに、福岡、静岡の各地で不正支出の実態が、明るみになっています。
で、特に北海道警では、最高幹部を務めたOBが「顔出し」で内部告発までしているのですが、しかし、ケーサツの方は三井氏という“前例”があるため、もはや「口封じの逮捕」ができないのです。その意味では、三井氏の内部告発は、その不当逮捕劇も含めて、じつに重いものがあるのです。
ちなみに、警察の裏金問題の根幹は各都道府県警本部から警察庁への「上納」です。これが明るみになると、警察庁トップへの責任追及がなされる恐れがある。それに対する「切り返し」というか、「あせり」も、「オウム関係者の逮捕はOK」という決裁を出した要因の一つになっているような気がするのです。
しかし、裏金問題の「本家本元」はいわずと知れた法務・検察です。
それでも警察は、報道で明るみになった分については、その不正支出については非を認め、返金するという動きが出てきますが、何とも笑えることに、法務・検察はこのごに及んでも「裏金など存在しない」と、シラを切りまくっているのです。
んで、その組織のトップにいる松尾邦弘がその裏金の恩恵にドップリと漬かっているわけですから、彼がいちばん恐れているのは、この「対岸の火」がさらに燃え上がって、再びこっち側に波及してくることなのです。それが、今回の「国松元長官狙撃犯逮捕」が、松尾邦弘のルートで動いていたということに、えもいわれぬ「うさん臭さ」を、私はピピーッと感じるのです。
ですから、松尾的には、その何とも貧弱な政局的判断として、「いま、ここでオウム狙撃犯逮捕OKなら、センキョ対策で与党に塩を送れる」と考えたであろうことは、十分に推測できますが(笑)、それ以上に「何とか、アンタのとこの裏金問題を抑えてくれや」という思いは間違いなくあったはずです。
おそらく、現場にいる警視庁公安部が頭に血が昇って、「早くパクらせてくれ」というのはアタリマエに決まっていますが、そうした“現場の暴走”を防ぐために、警察庁なり、検察という存在があって、ストップをかけるのです。
少なくとも、私の事件取材経験では、検察がストップをかけている事件を、ケーサツが勝手に逮捕するということはありえない。そんなことをしてしまったら、捜査機関同士の「相互信頼」というものが構築できないわけですから、そんなところに「事件摘発」という「真実の解明」ということなど、絵に描いたモチにすぎません。
実際、三井氏が高知地検次席検事時代、警察が手掛けていた殺人事件でも、警察サイドは「早くパクらせてくれ」ということを言ってきたにもかかわらず、三井氏が「こんな証拠ではとても逮捕にGOサインは出せませんわ」と言っていたのを思い出します。つまり、検察がNOという限り、(重要事件として事前に検察と協議するケースにおいては)ケーサツは逮捕状請求は出来ないのです。
もっと言えば、今度の狙撃事件においては、地検サイドは「逮捕はNO」だったかもしれませんが、そのアタマ越しに松尾の了承を取って逮捕に持っていった可能性は十分にあると思います。何といっても、検察庁法によれれば、最終的には検事総長はありとあらゆる刑事犯罪の指揮監督権を持っていますので。「逮捕OKの代わりに、あんたんとこの裏金問題も早いとこ、幕引きにしてくれや」といったところでしょうか。
もちろん、1億円闇献金事件の捜査もそうですが、むしろ、私は今度の国松元長官狙撃事件で、ケーサツ側の独走にストップをかけられなかった検察の責任は極めて重大だと思っています。捜査に対して、政治的思惑ばかりを優先して、その本質にある、証拠と証言の着実な積み重ねによって、「真実とは何か」を追及する姿勢をないがしろにする、今の検察の「劣化」を見事に象徴していると、私は思うのです。
まあ、三井氏不当逮捕を引き出すまでもなく、暴走しまくっているのが、検察なのですから、そんなところにケーサツの暴走をチェックを期待するのも無理というものです。「泥棒に犯人を捕まえてくれ」とは、まさにこのことですので(笑)。
それはさておき、しかし、こうした「血税寄生虫」であるところの松尾邦弘みたいな「ガン」が法務・検察のトップであることに、何とも暗澹たる思いにさせられます。
とりわけ、今度の臨時国怪では、村岡が証人喚問でも参考人招致でも、国怪に出て証言する意向を見せています。「政治とカネ」はもとより、その根底にある公金の裏ガネ捻出問題は、極めて重要な問題です。
「政局」に持っていく前段階として、小泉内閣の支持率を下げるためにも、野党は一致結束してこうしたギワクを追及すべきで、今度の臨時国怪は「裏ガネ国怪」として、ありとあらゆる裏金問題を取り上げるべきだと思います。
とりわけ、「新・悪の検事総長」である松尾邦弘は、松山地検検事正時代に調活費を裏金にして使いまくっているわけですから(笑)、ここは村岡兼造とツーショットで証人喚問をし、そのギワクを徹底的に究明すべきでしょう。
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