「ゴーリズム」とは何か |
じつは、私がドゴールを知るのは、このマルロー研究を通じてで、マルローの著作およびその人生行路を辿っていくと、第2次大戦前夜の、スペインにおけるフランコ蜂起をきっかけとするファシズムの台頭と、それを打倒すべく立ち上がったレジスタンス運動に突き当たります。マルローとドゴールはこのレジスタンスを通じて邂逅し、そこでの共闘によって生まれた絆によって、2人は、終生、「肝胆相照らす仲」となりました。
今からもう10年近くなりますが、私の2度目のブンヤ生活だった東京新聞の記者を辞めたのち、ひとり、ふらりとフランスを旅したことがありました。
で、ちょうど今から20年前、初めて異国の地を踏んだのがパリのドゴール空港でしたが、それから幾度となく、私の人生の転機のタイミングを迎える折には、いつもフランスを訪れていました。その10年ほど前の訪問も、そうでした。
そのとき、私はドゴールが隠遁生活を送っていたというシャンパーニュ地方の寒村、コロンベイ・レ・ドウー・ゼグリーズを訪れました。パリからレンタカーをすっ飛ばして、東へ約200キロ。
ドゴールの家は村の外れの小高い丘の縁に立つ、何の変哲もない石造りの建物でした。1階にある書斎兼執務室からは、なだらかな丘の稜線が幾重にも果てしなく続き、おそらく、太古の時代よりそのまま変わっていないであろう、悠久とした田園風景が、遥か遠くまで見渡せました。
とてつもなく広大で、森のような木々に囲まれた敷地の中にポツンと立っている、その彼の家を見るたび、改めてここが俗世間からは孤絶した空間であることが、よくわかりました。
私がドゴールに最も惹かれるのは、その「孤高の精神」です。
1940年6月14日、ナチス・ドイツのパリ侵攻に伴い、ドゴールはロンドンに亡命します。
その当時の歴史の趨勢は、圧倒的にドイツ、イタリアの全体主義陣営に傾いていました。
当時のアメリカ大統領、フランクリン・ルーズベルトをはじめ、世界の指導者はもちろんですが、フランス国内の人々もほとんどまったくといっていいほど、ドゴールのことを相手にしませんでした。
なぜなら、彼はドイツに降伏文書のサインをさせられた、ポール・レイノー内閣の陸軍次官として抜擢された、まったく無名の将軍で、さらに将軍とはいっても、次官昇任に伴い、それまでの「大佐」から、将軍職の中でも最もランクが低い「准将」になったばかりだったからです。
ルーズベルトにしてみれば、「知る、知らない」以前の問題で、相手にしようにも、あまりにも「格」が低すぎ、相手にしようがなかった、というのが実際のところだったと思います。
そんな、当時はまだ無名の一将軍でしかなかったドゴールは、ロンドン亡命後、チャーチルからやっとこさ、BBCのラジオを借り受け、1940年6月18日、フランス国民に、こう訴えかけています。
「一つの戦闘に敗れたとはいっても、それは戦争に負けたことを意味しない。これからも戦闘を続けるために、全フランス国民がいつでも私と一緒に行動できるよう、準備してほしい。そして、この先、どんな事態になろうとも、フランスのレジスタンスの炎を消してはならないし、そして、それは決して消え去ることはない」
しかし、フランス国内からの反応は皆無に等しいものでした。ただちに、ペタン元帥を首班とする対独協力のヴィシー政権は、 ドゴールに対し、欠席裁判で「死刑」を宣告しましたが、それでもドゴールは平然と無視して、歯向かい続けました。
その10年ほど前、私がフランスを訪れたとき、パリは、セーヌ川の左岸沿いに立つエッフェル塔の足元に広がる、シャン・ド・マルスに隣接したアンヴァリッド(=廃兵院、ナポレオンの墓がある)の一角に、解放博物館があります。
パリの観光でいうと、凱旋門にシャンゼリゼ、ルーブル、オルセー、モンマルトル、そして最近はモードの発信地として有名になったマレ地区と、そういうところに多くの人々は訪れるため 、わざわざこんなところにまで足を運ぶ人は、とりわけ日本人ではほとんどいません。
その解放博物館で、私は偶然、ドゴールの直筆の遺書がガラスケースの中に展示されいるのを見つけ、反射的に、思わず持っていたノートに書き留めてしまいました。遺書は次のようなメッツセージで始まっています。
「葬儀はコロンベイ・レ・ドウー・ゼグリーズで行い、もし、私が他の場所で死んだ時は、遺体を自宅まで運ぶこと。国葬は不可。私の遺体は既にわが娘アンヌが眠り、そしていつか妻も眠るであろう、コロンベイの教会に埋葬すること。墓碑銘は『シャルル・ドゴール(1890━……)』とのみ書き記すこと。それ以外の文字は不可。葬儀の参列者は息子、娘、娘婿と事務所の関係者のみとし、それも簡素に執り行うこと。私は国葬は望まない。大統領も閣僚も役人も国会議員も出席してはならない。フランス軍の関係者のみ参列は許可するが、ファンファーレや鐘などのやかましい演奏は認めない……」
こうして、葬儀のこまごまとした指示をした後、最後にこう結んでいます。
「私の死に対し、フランス政府、そして外国からも昇進、勲章、栄誉、表彰の一切をあらかじめここに拒否することを宣言する。もしそのうちの一つでも与えられるとするなら、それは私の最期の意思を冒涜するものである」
ちなみに、ここで出てくる娘のアンヌとは、ドゴールが最も愛したわが子で、ダウン症という障害を持ってこの世に生まれてきました。
遺書の内容にもさることながら、遺書が書かれた日付を見て、私はびっくりしました。
1952年1月16日
通常、遺書とは、年を取って晩年を迎えたり、または不治の病にかかったり、もしくは自殺を決意するなどしたときに書くものだと思っていたので、じつはこの日付が、私にとっては大きな衝撃ですらあったのです。アルジェリア危機に際して、ドゴールが政界復帰するのは、1958年のことですから。この遺書を書いたのは、一度、政界を退き、「野」に下っていたときでした。
そのドゴールが2度目の政界引退後の1969年12月、再び隠遁していたコロンベイを訪れたマルローが、ふたりの対話をまとめた記録として、『倒された樫の木』という本を後に出版しますが、その中で、ドゴールはマルローに、こう語っています。
「勇気は常に危険を無視するところにある。そして、次は暗殺されるか、爆弾で吹き飛ばされるかして、死なねばならないのだ」
この文章を読んだのは、私が学生時代のことでしたが、しかし、この一文はその後も頭の中からついて離れませんでした。そして、いつの頃からか、自分もこういう生き方をしてみたいと思うようになりました。
「ゴーリズム」、日本語に訳すと「ドゴール主義」というべきものでしょうが、これを最初に言い始めたのは、マルローだと言われています。
そして、この「ゴーリズム」を言うとき、一般にはドゴールの政治的手法、それは、時には右翼を抱き込み、左翼をも篭絡した老獪なマキャベリズムを指して言うことが、本国フランスでも多いです。
「ゴーリスト」を自称する現フランス大統領、ジャック・シラクも、95年の大統領選を前に著した『あらゆる人々のフランス』の中で、次のようにゴーリズムについて述べています。
「私にとってゴーリストとは、ある教理への賛同者を意味するわけではない。(略)ドゴールは右でもなければ、左でもなく、自由主義者でもなければ、計画経済主義者でもなかった。ゴーリズムとは一種のプラグマティズムだ。だが、極めて高次元のそれである。政治判断は普遍的な利益に応えるためのものであり、技術的、政治的な打算に基づくものではない」
しかし、これはゴーリズムの一面でしかなく、そこにある本質とは、理想を追い求めるためには、自らの肉体の死をも厭わない「行動主義の哲学」のことです。それをジャーナリズムの現場において実践していくことが、私に課せられた(科せられた)役割なのでしょう。
#シラク、国連総会で演説をブッた後、EU加盟モンダイに関して、今度はトルコに足を運んでおるんやな。ドストブラジの仕事を横取りしてしもうとるやんか(笑)。いい選挙運動だ。ただ、クルド人に対する弾圧モンダイで、あんまりトルコを追い詰め過ぎると、ヘソを曲げてしまう恐れもあるから、そこは配慮も必要や。「オマエんとこの猿は何や、イスラム系移民の若者に対して、『人間のクズ』と言うとるそうやないか。任命権者は誰や」と反論されてしもうたら、バツが悪やないか(笑)。
まあ、「イスラム文明との対話、融合」という意味では、地政学的にも、外交・安全保障上においても、トルコは最重要で、ブッちゃけて言えば、あんなブルガリアやルーマニアなんかより、トルコのEU加盟の方に力を入れるべきやで。何せ、イラン、イラク、シリアと国境を接しておるわけやからな。旧共産党政権下でブルガリアはジフコフ、ルーマニアはチャウシェスクという長期独裁者が出とるしな。特にブルガリアなんて、ロシアでもアメリカにでもくれてやってもええくらいやからな。
ブルガリアはあのキリル文字を見てもわかる通り、もともと親露的なとこやからな。というのは、あそこは、昔、植民地として、オスマン・トルコにいじめられておったからな。それに比べると、トルコはアタテュリュクの革命で、自分たちの手でオスマン帝国のスルタンを追放し、「政教分離」も実現させて、列強からの植民地支配から免れてきた歴史を持っているからな。同様に列強諸国からの植民地支配を逃れていた、アジアでは数少ない、あのタイで、ぬあんと、軍事クーデターが起こってしもうたやないか。トルコにそういう状況へと陥らせては絶対にアカンで。「政教分離」をきっちりやっているという点では、むしろ、トルコの方が、民主主義においては、アメリカより先に進んでおる。
ただ、その一方で、この前のEU憲法批准の国民投票のときのように、トルコのEU加盟をあんまり急ぎすぎると、極右(特にドイツのネオナチ)を刺激してしもうし、また、特にドイツなんかはトルコからの移民がどっと流れてくるやろうから、一般の市民も相当、そのビビリが伝染してしまう恐れがある。移民流入を巡って、猿とスペインのザパテロが大喧嘩しておったけど、そのへんもうまく配慮しつつ、むしろ、トルコのEU加盟を優先させるべきやとワシは思う。
トルコに死刑制度を廃止させるとかいう啓蒙活動は、結局、エスタブリッシュメントの人材をどう育てるかやからな。例えば、ENAをはじめとするグラン・ゼコールにトルコ人の枠を設け、フランス語を喋れる人間を受け入れて" 訓練" させた後、またトルコに戻してやるとか、そういうところから、ちゃんとシンパを作っていかんくちゃやないかな。だから、時間はかかるで。
しかし、ブッシュとブレアがイラクでやったように、銃剣でフセインを生け捕りにして、センキョをやらせた程度で、民主主義なんて確立するわけないしな。そんなもんは「人間」ではなく、「猿」のレベルの民主主義や(笑)。「欧州(=フランス)」は人種や宗教、言語、そして、肌の色の違いなども超えた、一つの価値観を共有する文化、文明の共同体やからや。それがまさにイラク戦争反対の根拠として唱えた「ユニヴァーサリズム」や。だから、トルコはアジアであるし、欧州でもあるんや。そういう異質なものを受け入れる寛容性こそが、民主主義やからな。トルコは絶対に大事にせなアカン。
#シラク、ワシは今、アンドレ・マルロー(Andre Malraux)の『アルテンブルクのくるみの木』(Les Noyers de l’Altenburg)を読み返しておるのだが、学生時代、読んだ時は、この作品の持つ意味が全然、わからんかった。しかし、今、それがはっきりと理解できる。この小説は、マルローがスペイン市民戦争に敗北した挫折感から、レジスタンスに参加するまでの「沈黙」の間に書かれたものなんだが、舞台は、第1次大戦前のドイツ領アルザスにある、架空の町・アルテンブルクで、主人公であり、マルローの分身でもある「ベルジェ」の父親(=ドイツ国籍)の物語なんだ。ベルジェの父は、ぬあんと、イスタンブールの大学で教鞭を取り、在イスタンブールのドイツ大使館と、青年トルコ党との間に入って、あのエンヴェル・パシャとも交友を持っておったというストーリーなんや。ベルジェの父はエンヴェルのことを敬愛し、彼の憂国の情と社会改革への志に共感しておったんやな。しかし、青年トルコ党の改革は失敗に終わるんやが、それは結局、オスマン体制の中に入ってしまって、今のアメリカがイラクでやっておる、あの「帝国主義的膨張政策」の渦に巻き込まれてしまったことに尽きるやろうな。それに比べると、アタチュルクの方が全然、賢くて、バルカン半島を手放し、「アナトリア防衛」に専念したからこそ、独立が維持できたわけやな。しかし、それと引き換えに、エンヴェルが掲げていた「汎トルコ主義」から、「トルコ(アナトリア)・ナショナリズム」へと傾斜していってしもうたんやな。そこに、現在のクルド人をはじめとする少数民族の問題の淵源があるんやな。
しかし、ワシはエンヴェルが掲げていた「トルコ内の各民族の融和、統合」という理念と方向性は、間違いなく正しかったと思う。そこにある手段を「武力による領土拡大」から、「文化同士の対話と融合」に持っていくべきではないだろうか。そこから、キリスト教とイスラム教、フランス(=欧州)とトルコ(=アジア)の融合による、新たな「ユニヴァーサリズム」も生まれてくると思う。
#シラク、この11月21日に、エリゼ宮に日本など6か国とEUの代表者を集めて、ITER(国際熱核融合炉)の計画実現に向けた協定書にサインしとるんやな。最近のアレバと三菱重工との業務提携といい、「核の平和利用」ということで、力を入れておるんだな。日本はヒロシマ、ナガサキの惨劇があるから、どうしても核というか、原子力にはアレルギーがあって、しかし、それはそれで感情論としてはよく理解できるのだけれども、しかし、地球温暖化ということを考えた場合、リスクを踏まえつつも、エネルギー源としての原子力ということも、きちんと考えなければならん時期に来てはいるな。しかし、こんな重要なネタを報じたのは、日本では東京新聞だけで、いかにパリ特派員が「寝ている」かの証左やな(笑)。でも、日本の惨劇があるからこそ、「核」を何とかして平和利用しなければならないという、モチベーションが世界に広まっているっていうのは、間違いのない事実やからな。
#それと、トルコのEU加盟に関してネックになってるのに、キプロス北部地域の占領の問題があるんだな。キプロスは地政学的にはいちおう、欧州になるんか。オスマン時代の「夢よもう一度」という連中からすると、キプロスから引くっていうのは、「キリスト教徒に屈した」っていうような面子のモンダイも出てくるんかもしれんな。ただ、「領土拡大」でいい気になってんのは、ブッシュやブレアのアホだけに任せておけばええ話やで(笑)。「拡大」すべきは、文明、文化やからな。ワシは敢えてトルコには「キプロス撤退の是非」を国民投票で問うことを勧めるな。もし、それで、過半数の賛成を得れば、トルコも「政治的成熟」に達したとみるべきだろう。それは、シラクの「3選公約」である、「任期中のトルコのEU加盟実現」が信任されるのと、当然、バーターやけどな(笑)
#で、その11月28日にエルドアンは、ベネディクト16世と空港で会うたんやな。しかし、法王がまさか、「トルコのEU加盟支持」まで言及するとは、思わぬ展開だったな(笑)。わからんもんだなあ。やっぱり、こういうのは会ってはみるもんだなあ。これは大きな一歩になる。バチカンってとこは相変わらず、相当、生臭いからな(笑)。EUとは、地理的概念ではなく、ましてや、宗教的、民族的、人種的概念をも超えた、一つの人類としての普遍的な価値観を具現しようとしている存在であることを、特にあのブッシュとブレアには見せつけてやらんとアカン。
#シラク、ワシがなぜ、トルコのEU加盟を推進しようとしているのかというと、もちろん、「文明の対話と融合」という理念の実現ということもあるが、それ以上にあの「イラク内戦」を終結させて、平和を取り戻すためには、トルコの存在が不可欠という判断からや。それには、地政学的な理由もあるが、いちばんイスラム社会の感覚がわかる人間が、イランやシリアとかと一緒に和平工作に入っていく意味だわな。そのためにはEUと国連の枠組みも必要なんだろうが、そこにトルコが直接的に関わることで、互いの言い分を調整しながら、話をまとめていく役割が担えるだろうという判断だな。結局、米英軍の完全撤退後に、スンニ派、シーア派、クルド人の「3派連合イラク政権」という形にならざるしかないと思うが、まあ、ブッシュ政権で「撤退」という選択肢があるかどうかやな。日本の歴史でも、戦争の始まりは弥生時代だそうで、その理由は食糧や資源簒奪のための土地収奪や。現代のイラク戦争と何ら変わらん。EUの出発点である、ルールとアルザス・ロレーヌの天然資源の共同管理を決めた欧州石炭鉄鋼共同体の「仏独枢軸」の理念と理想こそが、イラク内戦を終結させる力になると思う。だから、それには、あと、2━3年はかかると思うから、「3選」が必要なんや。ワシの言ってることが、わかるか。
#それで、ワシはちゃんと「3選」に向けての知恵も準備しておるで。キャッチコピーはズバリ、「シラク革命、第3章」(Revolution de Chirac、Chapitre 3eme)で、センキョ公約のうち、「理念」が「文明の対話と融合」(Dialogue et Fusion des Civilisations)と「寛容の精神」(l’Esprit de Tolerance)で、「政策」は外交が「トルコのEU加盟」(Affilation Turquie a U.E.)で、内政が「格差の是正」(Redressment de differance)や。シンプルにこれだけで十分や。当選に向けた今回のポイントは、従来の支持層を固めたうえで、猿とセゴレーヌが「極右化」しとるから、それよりずっと「左」に手を突っ込むことや。社会党左派や共産党の支持層やシンパの票をごっそり頂くことや。もっとわかりやすく言えば、去年のEU憲法草案の国民投票で、ノンの票を入れた有権者をこっちに振り向かすことやで。要は「ジャコバン化する」(Jacobiniser)ことや。わかるか(笑) Allez-y,Vivre France!
#それより、シラク、ブルゴーニュのヌベール近郊で、新しく炭坑を掘って、石炭発電所を建設するという計画が持ち上がっているそうやないか。最近は技術も進んで、前よりはだいぶCO2の排出量を削減できるということじゃないか。例によって緑の党は反対だが、地元の共産党は「雇用創出に繋がる」と大賛成しとるんやな。いいか、去年のEU憲法批准の国民投票で、南仏と並び、「ノン」が60%を超える圧倒的多数だったのが、このロワールとブルゴーニュの境界線からリムーザン、オーベルニュにかけての「山岳地帯」なんだよな。都市でいうと、リモージュ、クレルモンフェラン、そして、このヌベールも入ってるんだよな。一言で言うと、TGVが通っていない地域や。ワシも10年ほど前やが、クルマであのあたりを回ったことがあるが、フランスでこんなビンボーな地域があるのかと、正直、ビックリしたで。失業率が高く、大した産業もない田舎やな。日本の地方が抱えている問題と同じや。石炭発電所を1つ建設したところで、地球温暖化によって、世界は滅亡せん(笑)。キレイゴトを言う前に、とにかく、「メシの種」を作り出すのが、政治の責任や。失業率の低下は、最大の「治安対策」でもある。ドゴールだって、パリ解放の際は、共産党と手を結んでおるからな。ここは「ジャコバン化」や。そうやって、共産党の票をもろうて、さらには社会党の左派もガンガンと切り崩せ!
#例の「オスマントルコによるアルメニア人虐殺を認めない者は刑務所に入るか罰金を払え法案」っていうのは、PSのマルセイユ選出の下院議員、クリストフ・マスが提出したもので、ぬあんと、マルセイユはフランス国内でいちばんアルメニア系の移民が多いそうぢゃないか。アルメニア系移民はフランス全土で約50万人いるそうだが、このうち、「有権者」はどれくらいいるんだろうなあ。しかし、これは「大統領選対策」ってより、その後に続いてある「下院選対策」そのものぢゃないか(笑)。あの下院での法案採決にしても、棄権や欠席が多くて、議場がガラガラだったのにはビックリしたで。んで、UMPも含めて、下院でこの法案に賛成したのは、パリ、リヨンといった、アルメニア系移民が多い選挙区の人間が多かったということぢゃないか。じつにわかりやすい。早ければ、この(07年)2月にも上院での審議が始まるかもしれんということだが、「時期」が時期だけに、これは「政局含み」で、オモロイな。最終的に「共和国大統領」の「拒否権発動」が待ってるからな(笑)
#今日(07年1月11日)付けの東京新聞朝刊が報じていたが、シラクはドビルパンに指示して、「ホームレス救済」を目的に、「全ての市民に住宅を保障する法案」の提出を決めたのか。まさに「3期目」のキーワードは「ジャコバン化」「極左大統領」やな(笑)。まあ、ワシに言われるまでもなく、本人が一番よく知っているだろうが、95年に「バラデュール圧倒的有利」を最後に引っくり返したのが、「徹底したドブ板」だったということを。今度の「真の敵」は、セゴレーヌなどではなく、「猿」や。95年と同様、今回は「身内同士」の骨肉の争いってことやな。とにかく、南仏をはじめとして、EU憲法草案の国民投票で「ノン」が多かった地域には、こうした「法案宣伝」をはじめとして適当な名目で、「地方行脚」をこれからやることだな。「現職の知名度」ということに安穏としていると、猿に足元をすくわれるで。「地方行脚」をすれば、必ず地元紙が一面トップで扱うから、そうした「積み重ね」が既にセンキョ運動となる。「猿」に勝つ唯一の方法は、徹底したこの「ドブ板」以外にないとだけ断言しておこう。
#いよいよブッシュが、イラクへの最大2万人超の増派を正式発表したな。その同じ日(07年1月10日)には、米軍がソマリアへの大規模空爆に踏み切って、「第2のイラク」となりつつあるしな(日本での報道の扱いは小さいが、これが持つ意味は決して小さくない)。年末のフセイン処刑からずうっーと繋がっている話ではあるな。しかし、ベーカー委員会の報告書で、少しは「方針転換」もあるかなと思っていたが、ここまで見事に「万歳突撃」に走るとは、ちょっと意外だった。いずれにしても、来年(08年)の米大統領選で、民主党に政権が変わらんことには、イラク情勢の好転は、まず、ありえないな。これは、やはり、「戦時大統領」として、これまで以上に「シラク3選」に本腰を入れる必要がある。今までにも増して、「内政」はもとより、「外交」にも布石を打っていく必要があるで。まあ、何はともあれ、「やるべき仕事がある」ってのは、ええことや(笑)
#アルメニア系トルコ人のジャーナリスト、フラント・ディンクが、この1月19日午後(現地時間)、イスタンブールの自分の事務所前で、何者かに狙撃されて即死か(享年52歳)。このディンクという人は、トルコ語とアルメニア語の週刊誌「アゴス」を発行していて、トルコ・アルメニア両民族の和解を呼びかけていたのか。で、トルコには、「国家侮辱罪」があって、オスマントルコのアルメニア人虐殺を否定すると、この罪で刑務所に入れられ、このディンクも「虐殺を否定したトルコとは戦うな」と記述した点が、国家侮辱罪に問われ、05年に執行猶予付きの有罪判決を受けていたのか。ああ、それで、アルメニア系フランス人の意向を酌んで、「オスマントルコによるアルメニア人の虐殺を認めない者は、刑務所入るか罰金を払え法案」が、ブルボン宮(=仏下院)に提出されたのかが、やっと、わかった。しかし、この前のプーチン批判ロシア人ジャーナリストの暗殺といい、今度の件といい、絶対に許せんな。「体を張って、言論の自由のために戦っているジャーナリスト」とは、彼らのような人間たちを言うんであって、こんな日本みたいなのうのうとした環境で、口先だけで「言論の自由」を吐いていることが(もちろん、自分も含めてだが)、いかにおこがましく、恥ずかしいかを痛感する。国境を超えて、こうした動きを我々は支援し、注視しなければならないと同時に、今、自らが何をなさねばならないかが、改めて自分自身に突き付けられていると、つくづく思う。
#今日(1月27日)の朝日朝刊がオモロイヒマだねを載せておったが、「セゴレーヌ陣営幹部をDCRG(国家警察総合情報局)内偵は猿の指示か?」とあったが、猿の「指示」なんてあったに決まってる(笑)。あと、シラクの大統領専用機の大統領専用ベッドでSPが居眠りしていたのが発覚して、処分したってのも、全然、胡散臭いよな。SPもどうせ、内務省の管轄だろ。猿も陰湿というか、非ENAやから、こうしたボーリャクを使い倒すしか、権力を奪取する手段がないんだよな。まさに「現代のフーシェ」「フランスのプーチン」や(笑)。カナール・アンシェネにパリ・ジャン、ヒマやったら、猿が10年以上も市長やっとるヌイイ市役所を徹底的に調べんかい。必ず、ホコリが出て来るで。フランスの内務省も戦前の日本のそれと同じで、警察と地方自治体(選管)を管轄しとるんよな。仏各紙が「選管のトップが大統領選に出馬するのはヘンだ。内相辞任すべきだ」との論を、おそまきながら、ようやく主張しはじめたが、それ以前の筋論として、猿はナマイキにも「シラク時代からの静かな決別」を言っとるんだよな。同じ政権内部にいて、シラク治世を批判するってのは、自己矛盾も甚だしいで。はよ、内務大臣の辞表をドビルパン通じて、シラクんとこに持ってこいや。例の「アルメニア人の大量虐殺を認めん者は処罰する法案」の上院審議入りと相俟って(どうせ、時間差ダブルの下院選対策やから、手をつけんとアカンやろうしな)、いよいよ、超オモロイ「政局モード」になってきたな。いずれにしても、大統領選で負けた時点で、猿はUMP党首を即、クビ、続く下院選でドピルパンがヌイイの選挙区から出馬して、それでオシマイや(笑)
#うーむ、ここは「シラク、イラン電撃訪問」やな。ただ、「核だ、石油だ、天然ガスだ」って言うと生臭くなるからな、ここれはもっとハイレベルの「文明外交」や。イランっていうのは、そもそも、イスラム教、ゾロアスター教以前に、BC8000年ごろから、パレスチナのエリコ、アナトリアのハシラル、イラクのジャルモなんかと一緒に、現・イラン領内の「アリ・コシュ」ってところで、世界最古の「農耕集落」が見つかってるんだよな。まさに「メソポタミア文明」や。つまり、イランはイラクやトルコ、パレスチナなんかと一緒に、当時は「国境」なんてないから、イランの西部は「メソポタミア文明圏」にズッポリ入ってたんやな。んで、テヘランの考古学博物館には、こういった遺跡資料なんかもイッパイ展示されておるんやって。まさに、ケ・ブランリー美術館のテーマである「文字以前の古代文明」や。「ペルシア文明特別展」開催準備の名目でも適当に作って、現地に遊びに行って、イスファファン、ペルセポリスでも見物して、それからアハマディネジャドとメシでも食って、握手してくればOKや(笑)。だって、イランもシラクには「テヘランに遊びに来い」って言っておったんやろ。ちょうどええやないか。
#この1月26日付朝日朝刊「トルコ国家侮辱罪の闇」は、じつに読み応えのある記事だった。書いた安東建という記者はテへランの特派員なんだな。今度のフラント・ディンク殺害に限らず、日本の新聞各社はイスタンブールに支局を置いとらんから、記事の出稿先は、テヘランだったり、カイロだったり、エルサレムだったりすんだよな。だから、「ブンヤだったら、現場行って取材してこい」って文句をつけようとした矢先、イスタンブール発のこの朝日の記事が掲載され、おまけに、例のフランス下院での法案可決の動きとも合わせて、昨年(06年)11月にディンク本人へのインタビュー(写真付き)も取ってたんだよな。結果的に「大スクープ」になったんだが、「現地に足を運んで取材する」というブンヤの基本を痛感する。
で、そのディンク殺害については、狙撃実行犯であるその17歳の少年に銃(とカネ)を渡したのは、04年にトルコ国内であったマクドナルド爆破事件に関わり、逮捕歴のある26歳の男ということだが、どうも、過激な民族主義思想を持つグループに属する、それより「上」からの指示があったようで、連中は単なる「鉄砲玉」って感じなんだよな。その意味では、日本のヤクザのヒットマンや、2000年にウワシン編集部を襲撃した日本青年社の構成員と変わらない。もっと言えば、今、イラクに送られている若い米軍兵士とも根っこではまったく同じといえる。こうやって、「手を汚させられる」のは、いつも組織の末端にいる人間ばかりだ。
で、そのディンクのインタビューでは、ブルボン宮(=仏下院)で可決された「アルメニア人の虐殺を認めない者は刑務所に入るか罰金を払え法案」を明快に批判しているのだが、その根底にあるのは、「私はあなたの意見には反対だが、その反対意見を言う権利は命を賭けてでも守る」ということで、かつて18世紀にヴォルテールが言っていたことと同じなんだよな。本人曰く、「私は国家侮辱罪でトルコ国内で訴追されたが、そのフランスの法案が成立すれば、今度はそれと逆のことをフランスで言うと罰せられることになる」とも。つまり、同じひとりの人間が、矛盾したことをトルコ、フランスで言って両方で罰せられることになる、と。さて、ルクサンブール宮(=仏上院)が、これからこの法案をどう処理するのか見物だな(笑)<要は、シラクが最後に拒否権を発動して廃案にすれば、「言論の自由を守る」ということになるのか。
#1月31日付けの「カナール・アンシェネ」(日本語で「鎖に繋がれたアヒル君」)が先週に続いて、今度はセゴレーヌがPSの公認候補選出直後の昨年(06年)11月に、内務省のDCRGがセゴレーヌの資産を調べていたことをスッパ抜いていたが、これも猿の指示に決まってる(笑)。しかし、こんなことを平気でやるっていうのは、根本的な「政治家としての資質」が問われるべきだな。民主党本部に盗聴器を仕掛けさせたニクソンみたいやな。東部のエスタブリッシュメント出身でなかったニクソンは、ケネディに対する嫉妬と憎悪が凄かったんだが、それを同じ感情は、非ENAである猿は、間違いなくドビルパンに対して持ってる。あのCPE潰しは、そこから来てると思う。2000年の「ブッシュVSゴア」の米大統領選が、後になって思えば、それが大きな「分水嶺」だったように、当時、メディアは「クソ真面目で面白みのないゴア」に対し、「愛嬌たっぷりで、お茶目なブッシュ」と持ち上げまくっていたが、そうした「ポピュリズム」(=大衆迎合主義、衆愚政治)が、いかに取り返しのつかない「失われた8年間」になったか、フランス人はもっと真剣に考えるべきだと思う。これまでのメディアの報道を見ても、「サルコジとは一体、何者か」っていうのが、さっぱり見えてこんのだよな。あるフランス人ははっきりと言っておった。「サルコジが大統領になったら、国外に逃げたい」と。しかし、それを、カミングアウトして言えない状況があるんだよな。今度の大統領選は「フランス人の政治意識のレベル」が問われるということだと思う。
#ふむ、1月31日付けニューヨークタイムズ電子版が、「イランが1、2個の核兵器を持ったところで、危険ではない」とシラクがインタビューで言ったと(他に仏紙のヌーヴェル・オプセルヴァトゥールが同席)報じてるんやな。アタリマエやないか。だいたい、世界中で核弾頭をいちばん持ってるのがロシアの約16000発(うち実戦配備数5830発)、次いでアメリカの9960発(同5735発)、以下中国約400、フランス約350、イギリス200以下、イスラエル75━200、インド40━50、パキスタン30━52で、んで、今、イランがウラン濃縮活動中なんやな。別にイランが核を1個や2個持ったところで、なんでそんなにいちいち目くじらを立てなアカンのや。発言の真意は「イランが核を1個、その後、さらに2個目の核を持ったとしても、大きな危険ではなく、より危険なのは拡散だ」としたうえで、わざわざ「たとえ、イランが(イスラエルに向けて発射したとしても)、その前にテヘランが完全に破壊されるだろう」とまで付け加えておるんだよな。だいたい、ワシはブッシュ政権が、とくにこの年明け意向、ここまでイランを「過剰敵視」しなければいけないのか、まったく理解できんのや。まだ、100歩譲って、フセイン政権下のイラクを敵視したのはわかるのだが、イランは確かに十分ではないかもしれんが、選挙によって政権交代が起こっているし、アハマディネジャドになって揺り戻しが来てはいるが、ハタミ前政権下ではかなり、言論、出版の自由も確立されてはいたわけだろ。もっといえば、ホメイニのイスラム革命の「真の原因」は、腐敗しまくったパーレビ王朝を強烈に後押ししていたアメリカの存在ゆえではないか。ホンマ、「飼い犬に手を噛まれた」ことに逆上しとるだけなんだよな。その意味ではフセイン、ウサマ・ビン・ラディンと何ら変わりがない。マッチョを誇るアメリカも一皮剥けば、「恐怖と萎縮の塊」でしかないんだよな。そんな世界中が寄ってたかってイランをイジメて孤立させたら、余計、「核保有」に走るに決まっとるやないか。まあ、ブッシュは超ビビリだから、すぐにまた大騒ぎするで(笑)。バカ丸出しや。うーむ、「シラク、イラン電撃訪問」に向けて、着々と準備を進めておるな。ええことや。
最後にもう一つだけ付け加えておくと、「いい人」にも悪いところはいっぱいあるし、「悪い人」にも一つくらいは、いいところがある。あまりそれを分けて考えない方がいい。マニ教的な善悪観、または、デジタル情報処理的な「イエスか、ノーしかない」みたいな単細胞思考は、極力避けた方がいい。そこらあたりから、「人間存在の本質とは何か」ということが、見えてくると思う。そういう根源の部分から、「戦争と平和」の問題も考え抜くことからしか、解決の糸口は見つからないと思う。
#おっ、シラク、例の「世界生態系管理パリ会議」で、この2月3日には「パリ・アピール」ってことで、地球環境問題の世界的な取り組みのため、UNEP(国連環境計画)をさらに強化し、より強い権限を持った「国連環境機関」の新設を打ち出したんやな。センキョ運動に熱が入ってきたやんか。いよいよツモの流れが変わってきたな。こっちでもちょうどゴアの「不都合な真実」を上映しとるんで、タイミング的にも絶妙やな。レバノンはいちおう、シニオラとナスララが「武力行使はすんな」と呼びかけてはおるんやな。アタリマエや。もし、これで「内戦再発」という事態にでもなったら、「利子つけてゼニ返せ」って言うたれ。だいたい、日本政府もレバノン復興支援にはカネを拠出しとるが、そもそも元を質せば、ワシらの税金やからな。んで、イラクについては、少なくともブッシュ政権下で「増派」はあっても、「撤退」という選択肢はないんで、この事態が改善することは100%ないと、ワシはアラーの神に誓うで。いずれにしても、トルコのEU加盟問題も含めて動き出すのは、フランスがEUの議長国になる来年(08年)の後半やで。ちょうど米大統領選もあるしな。その意味ではワシは、環境問題の取り組みとも絡めて、ゴアの再挑戦も全然、アリやと思う。それでイラクの問題も含めて、すべて片が付く。
#いや、不覚にもワシすっかり忘れておったんだが(笑)、年末に国連安保理がイランに対して核開発停止を求めていた決議で、その回答期限がぬあんと、この2月21日だったんやな。これは、シラク、リーチ一発逆転の「ツモ」が来とるで。ドゴールはまさにパリ解放がそうやったんやが、アイゼンハワー指揮下のルクレール将軍の師団を勝手に引き抜いて、パリに入城し、シャンゼリゼを行進して「既成事実」を作ったように、ドゴールの真骨頂は「一瞬のタイミングを掴み取る力」やったわけやしな。ワシが21世紀のドゴールに贈る言葉は「危機こそが最大のチャンスなり」(=La crise est la meilleure chance!)や。
#この2月8日付の日経電子版が、オモロイヒマだねを掲載してて、遺伝子組み替え作物を刈り取るという「直接行動」に踏み切ったとして、刑事訴追されていた農民運動家のジョゼ・ボべに対して、破棄院(=最高裁)が上告を棄却したってことで、禁固4カ月の実刑が確定したそうなんだが、本人は「収監されても獄中から出馬する」って言ってるんだそうな。ところが、最近の世論調査では支持率が4%もあるんだってな。今度のワシの完全無所属による出馬による「シラク3選」にあたっては、時間差ダブルである下院選については、じつは社会、共産、緑の党といった左派の勝利も全然、アリやと思ってるんだよな。つまり、今回は猿やセゴレーヌの「左」を行かないとなんでな。ただし、「外交・防衛」は大統領の専権事項なんで、そこはPSのオランドかファビウス(もしくはストラスカーンか)と話をつけて、外相、国防相は「大統領枠」として取っておいて、それ以外の内政の閣僚ポストは左派に全部「丸投げ」でチョーOKなんだよな。場合によっては共産、緑の党からの入閣もアリだな。その場合は「ドビルパンの外相再登板」で、トルコEU加盟にイラク戦争にカタをつけるしかないわな。まあ、いずれにしても「3月政局」やで(笑)
#うむ、この2月11日に国営フランス2で放映される番組で、シラクが事実上の「3選出馬」をかなり踏み込んでサジェストするのか。しかし、フランス人のそれは男女間の恋愛の口説き文句と同様、「イライラするほどわかりにくい」んで、やはり、「解説」が必要やな。8日付パリジャンが報じた、番組でのシラクの発言にカッコで補足すると、要はこういうことだろ。「私は(これまで共和国大統領として)常にフランス国民のために行動してきた。(今度の大統領選で、不覚にも猿やセゴレーヌに敗北し、大統領として職務に専念するという)この責任がなくなった場合は、他の方法で(、つまり、政界を完全に引退し、一切の公職に就くことはなく、一市井の人間として、)フランスのために尽くすだろう。政治の後にも人生はある」と。んで、嫁ハンのベルナデットについても、「(もし、センキョに負けた暁に)エリゼ宮を離れるのは少し寂しいが、(敗北は事実なので、そのときは)運命に従うしかない」ってことだろ(笑)。つまり、「政界完全引退」とは、猿やセゴレーヌに負けた場合の「唯一の選択肢」やないか。そんなのアタリマエや。「退路を断たないケンカ」に、最初から勝ち目なんてあるわけないからな。日本語で言う「背水の陣」や。それぐらいの覚悟がなければ、自分より一回り以上も年の若い候補者に勝てるわけあらへんがな。ただでさえ「ジジイ呼ばわり」されとるわけやからな。ちゃんと、「3選敗北の際は(完全に政界を引退する)」の一言をつけてやらんと、一般市民にはわかりにくくて仕方ないで。しかし、恋愛のカケヒキさえ心得ておれば、こんなにわかりやすいメッセージもない(笑)
#ん、この2月8、9日にセビリアでNATOの国防相会議があって、例によってゲーツは「古い欧州」に最低2500人の増派をねじ込もうとしてきたのか。従来のアフガン展開のNATO軍の総勢が1万人だが、それから今度は3万5千人に増派の計画か。いよいよブッシュもイラクとアフガンで「同時多発バンザイ突撃」に踏み切るんやな(笑)。しかし、アリヨマリはなぜ、このタイミングに「NATO内の古い欧州軍」、少なくとも仏軍の全面完全撤退を主張しなかったんや。「フランス=ゴーリズム」の立場を貫くんであれば、これ以外の選択肢はない筈やんか。現地にはネタを取ってくる「情報将校」だけ残しておけば十分や。アリヨマリも猿の応援で、本業の方も「ウワの空」のようだな。シラク、共和国大統領の2期目の任期は今年(07年)の5月6日まであるんやから、ここはちゃんと人事をいじって、こんなサボタージュしとる国防大臣のクビを早く飛ばさんかい。後任はドストブラジの兼任でええやないか。どうせ、国防省の役所も外務省の近所やろうから。で、ついでだから、猿もセンキョ運動が忙しいやろうから、一緒に内務大臣も更迭したれや。猿の後任はドビルパンの兼任でええやろ。そっちの方がスッキリするし、余計な給料も払わんで済むから、税金の無駄使いの削減にもなる(笑)。これも「3選」に向けたいいセンキョ運動や。France,c’est le destin de tout le monde. Allez-y,Vivre France!
#極東では、6カ国会議で北朝鮮が折れて、いちおうは核開発断念の意向を示したんで、あとはイランの方だが、これもいよいよ「落とし所」が見えてきたな(笑)。まあ、アメリカは強硬に「ウラン濃縮活動の停止」を言っとるが、濃縮技術自体は、原発という、いわゆる「平和的利用」には必要だからな。アハマディネジャドも「ウラン濃縮は平和利用だ」と言ってるんだが、それを担保とするIAEAの「追加議定書」を、イランに前倒しでやってもらうということを飲んでもらうというところだろうなあ。この追加議定書は「抜き打ちの無通告査察」や「異常放射能探知のための環境モニタリング」などを認めており、これが厳格に適用されれば、「ヒミツの核開発」は絶対に不可能だとされている。ただ、イランはこの追加議定書を03年12月に署名はしているが、まだ批准はしてないんだよな。でも、何度も繰り返すが、アハマディネジャドは「平和利用だ」と言ってんだから、「だったら、IAEAの追加議定書ぐらい、ちゃんと履行しろよ」ぐらいは飲んでもらってもいいよな。そこで、シラクがテヘランに遊びに行って、「ワシも95年に大統領に初当選した直後、ムルロア環礁で核実験をやって、世界中から袋叩きに遭った。しかし、『長期政権』を狙うためには、国際世論を敵に回したらアカンで」と言って説得して、IAEAに繋げばいいだけの話ぢゃないか。どうせ、IAEAは国連の一機関だし。これなら、イランのメンツも立つ一方で、「核開発の骨抜き」も図れるわけだから、まあ、落とし所はコレだろうなあ。ヒロシマ、ナガサキでとてつもない被害を蒙っている我々、日本人の国民感情というものを少しは考える余裕というものが欲しいな。日本人(特に庶民レベル)の中東に対する視線は、欧米人のそれに比べたら、決して悪いものではないと思うからな。イランが「平和的利用」ということで本格的に動いてくれば、フランスの技術協力という方向も自然と出てくるだろうしな。
#おっ、シラク、ピエール・ぺアンの取材に応じて、『エリゼ宮の知られざる人』と題する本が2月17日から店頭に並ぶのか。ぺアンが94年9月に刊行し、当時、20万部を超えるベストセラーになった『あるフランスの青春』(未邦訳、原題・Une jeunesse francaise Francois Mitterrand,1934-1947)は、ワシもカルチェ・ラタンのジベール・ジュンヌで1冊買うたが、600頁を超えるこの書は、一言でいうと「調査報道の最高峰」ともいうべき作品で、ミッテランが隠し続けてきた「右翼青年」としての過去を完膚無きまでに暴いたものだ(ミッテラン自身もインタビューに応じ、その事実を認めた)。彼がレジスタンスに参加したのは、言われているよりずっと遅く、ヴィシー政権下ではあの大革命を否定する「ペタン主義者」として、ペタンから最高栄誉勲章まで貰ってるんだよな。結局、ミッテランは最後まで「ヴィシー時代の亡霊」とは縁が切れず、ルネ・ブスケやパトリス・プラといった連中との付き合いが、晩年の彼の腐敗とも分かちがたく結びついておったからな。この1冊の本でミッテランは「難破船」として沈んでいったといってもいいが(結局、ミッテランは大統領を退任後、1年もしないままガンで死去)、この時期にぺアンのインタビューに応じた本が出るというのは、非常に考えるものがあるな。じつにオモロイ展開やな。パリまでこの本を買い出しに行きたいくらいや。猿は言っておるで、「シラク、1日もはよ、『3選不出馬』を明言してくれ」と(笑)
#2月15日にペンタゴンでゲーツとペースの国防総省トップ2人が会見し、「イラクの武装勢力に対して、『イラン政府の最も高いレベル』がイラクに武器密輸を指示したとの駐留米軍からの報告に、『証拠はない』」か。バカ丸出しというのは勿論だが、現地の情報将校(CIAなんかも含む)にちゃんとネタを引っ張ってくるインテリジェンス能力が欠如しているか、それとも、ウソ八百を平気でデッチ上げているかのどっちかだが、とてもぢゃないが、「イラク統治は100%失敗している」と断言できる。「情報」こそが権力であり、情報がすべてだからな。例の「大量破壊兵器の存在」はもとより、「ウサマ・ビン・ラディン死亡」もシラク(=仏諜報機関)にスッパ抜かれておったわけやからな。アメリカの諜報機関はどいつもこいつも「発掘あるある辞典状態」やないか(笑)。テッシー(手嶋龍一)に佐藤優は、何か一言言ってやらんかい、こんなデタラメ三昧な”インテリジェンス活動”とやらを見せている、世界唯一の「超大国」に対してな。